
ビーントゥバーチョコレートとは? 製造方法やカカオの個性を楽しむ味わい方も紹介
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ビーントゥバーチョコレートとは、同一のメーカーが一貫してカカオ豆から製造したチョコレートのことです。ビーントゥバーチョコレートは、原材料となるカカオ豆の個性的な風味が感じられるとして、近年人気が高まっています。
本記事ではビーントゥバーチョコレートとは何か、定義や起源、関連する用語を解説します。併せて製造方法や魅力、カカオ豆の楽しみ方などを紹介します。ぜひ参考にしてください。
ビーントゥバーチョコレートとは?
ビーントゥバーチョコレートとは板チョコレートの製造において、同一のメーカーがカカオ豆から一貫して手掛けたものをいいます。通常のチョコレート製造ではカカオ豆の生産地と、チョコレートの一次加工メーカー、製菓メーカーが分かれているのが一般的です。役割を分けることでチョコレートの大量生産が可能となっています。
一方で、店頭に並ぶチョコレートは安価な価格と引き換えに、均質的で個性がなくなってしまっています。ビーントゥバーチョコレートの製造では製造者がカカオ豆を厳選し、カカオ豆の個性を引き出す工夫をしているのが特徴です。
近年、ビーントゥバーチョコレートへの関心が高まっています。板チョコレートだけでなくドリンクやケーキ、ボンボンショコラなども登場しているため、さまざまな楽しみ方ができるでしょう。またビーントゥバーチョコレートは、カカオ豆の生産地とチョコレートの消費地をつなぐキーワードとしても注目されています。
ビーントゥバーチョコレートの起源
ビーントゥバーチョコレートの先駆けとされるのは、1990年代後半のサンフランシスコに誕生したシャーフェンバーガーです。しかし、実際にはフランスの老舗ブランド「ボナ」(1884年創業)や「ベルナシオン」(1953年創業)など、さらに長い歴史を持つメーカーも存在しており、フランスが起源だとする説もあります。
その後2007年には、ニューヨーク・ブルックリンで「マストブラザーズ・チョコレート」がオープンし、現代のビーントゥバーチョコレートのムーブメントを牽引しました。その後、2010年ごろにはアメリカ西海岸やヨーロッパにも広がり、世界的なトレンドに発展。大量生産ではなく、小規模で丁寧に作られるクラフトチョコレートとして、多くのファンを魅了するようになりました。
さらに近年は日本でも、全国各地でビーントゥバーの作り手が増加しています。職人による丁寧なカカオ豆の選定や、産地ごとの風味を生かしたチョコレート作りが評価され、今では国内外のチョコレート愛好家から注目を集める分野となっています。
ビーントゥバーチョコレートの製造方法・工程
ビーントゥバーチョコレートの製造方法・工程は下記の通りです。
1. カカオ豆の厳選
2. カカオ豆の焙煎
3. 調温から成形
それぞれ詳しく解説します。
1.カカオ豆の選定
ビーントゥバーチョコレートの製造はカカオ豆の厳選から始まります。カカオ豆は北緯南緯20度以内の赤道付近で育ちます。カカオ豆の主要な生産地はコートジボワールやガーナ、インドネシアなどです。カカオ豆とはカカオの実に入っている種子を指します。
収穫したカカオポッドは手作業で割り、カカオ豆とカカオパルプを取り出します。カカオポッドとはカカオの実、カカオパルプとは果肉のことです。次にカカオ豆とカカオパルプの発酵に移ります。発酵は微生物が有機物を生成し、独特の芳香を生み出す重要な過程です。
発酵後にはカカオ豆を乾燥させ、カカオ豆の生産国からチョコレートの製造国へ輸送します。ビーントゥバーチョコレートは原産地の農家と、チョコレートを製造するメーカーとが直接関われるというメリットがあります。
製造国に届いたカカオ豆は工房で品質検査し選定されます。選定されたカカオ豆は粉砕され、カカオハスクが取り除かれます。カカオハスクとはカカオ豆の殻のことです。
2.カカオ豆の焙煎
次にカカオ豆の焙煎に移ります。焙煎はチョコレート製造の重要な工程で、ローストとも呼ばれます。カカオ豆の個性を引き出すには、種類や特徴に応じて最適な条件で焙煎することが重要です。この工程では焙煎の温度や時間などがポイントです。
焙煎を終えたカカオ豆は粉砕・磨砕に移ります。次に砂糖や他の原料を加えた後、調合(精錬)と呼ばれる工程で練り込んで粒度を調節します。練り込みはコンチングとも呼ばれ、チョコレートを仕上げる重要な工程です。コンチングによってカカオ豆のココアバターが均一になり、滑らかな風味や舌触りに仕上がります。
3.調温・成形
最後に調温という温度調整を経て、チョコレートの金型に流し込んで成形します。チョコレートの温度調整はテンパリングとも呼ばれます。テンパリングはチョコレートの口溶けを良くして、艶や光沢を生み出す重要な工程です。
チョコレートの口当たりには、融点と凝固点のバランスが影響を与えます。融点とはチョコレートが溶ける温度、凝固点とは固まる温度です。融点が低過ぎるとココアバターが結晶不足となり、チョコレートの密度が低くて固まりづらくなります。一方、融点が高過ぎると過結晶が起こり、密度が高く舌触りがザラっとしてしまいます。
テンパリングの失敗はチョコレートのファットブルームが起こる原因です。ファットブルームとはチョコレートの表面に白い粉や膜が生じる現象です。食べても問題はありませんが、風味が劣化してしまいチョコレートの味を楽しめなくなります。
テンパリングの後、チョコレートを冷やして固めればビーントゥバーチョコレートの完成です。
ビーントゥバーチョコレートの魅力
ビーントゥバーチョコレートの主な魅力は下記の通りです。
● 個性的な豆の味を楽しめる
● メーカーごとに異なる味が楽しめる
それぞれ詳しく解説します。
個性的な豆の味を楽しめる
カカオ豆の個性を楽しみたいなら、ビーントゥバーチョコレートがおすすめです。カカオ豆は品種によって味が異なり、産地や農園でも味わいに違いが現れます。
通常のチョコレートはさまざまな産地・農園・品種のカカオ豆を混ぜて製造されることが一般的です。一方、ビーントゥバーチョコレートはカカオ豆の個性を大切にして製造しています。そのため、多くのカカオ豆をブレンドせずに、厳選したカカオ豆を使用してチョコレートに仕上げているのです。シングルビーンのチョコレートならカカオ豆の味、産地の違いなどが分かりやすいでしょう。シングルビーンとは単一のカカオ豆で作られたチョコレートです。
ビーントゥバーチョコレートの中にはシングルビーンだけではなく、複数のカカオ豆をブレンドするメーカーもあります。カカオ豆のバランスを考えて配合し、目指す味わいを作り出すためです。メーカーがカカオ豆の個性や味の調和にこだわって製造しており、個性豊かな風味を楽しめます。
メーカーごとに異なる味が楽しめる
ビーントゥバーチョコレートはメーカーごとに異なる味が楽しめる点も魅力です。たとえ同じカカオ豆を使用してチョコレートを製造しても、メーカーによって出来上がる味は異なります。製造の工程がチョコレートの味を左右するためです。
ビーントゥバーチョコレートは同一のメーカーが一貫して製造を手掛けるため、工程にこだわって作られていることが多いです。口溶けの滑らかさやオリジナルな食感などは、チョコレート作りにおいて特にメーカーがこだわるポイントでしょう。
またメーカーによってカカオ豆以外の原材料の配合が異なります。ビーントゥバーチョコレートの主な原材料はカカオ豆に加え、砂糖、乳製品などです。原材料の工夫によってもチョコレートにはメーカーならではの個性が現れます。
ビーントゥバーチョコレートの食べ方
ビーントゥバーチョコレートのおすすめの食べ方は下記の通りです。
● 風味をじっくりと味わう
● ペアリングを楽しむ
それぞれ詳しく解説します。
風味をじっくりと味わう
風味をじっくりと味わうことでビーントゥバーチョコレートを存分に楽しめます。ビーントゥバーチョコレートには厳選されたカカオ豆が使われており、風味や香りの良さが特徴です。一口を口の中でゆっくりと溶かせば、カカオ豆の風味やアロマを堪能できます。
さらにしっかりとビーントゥバーチョコレートの風味を引き出すには、食べる前に50度程のぬるま湯を口に含む方法もあります。口内の温度を上げておけばチョコレートが溶けやすく、風味が豊かに広がるからです。カカオ豆の品種、産地による違いも感じ取れるでしょう。
ビーントゥバーチョコレートはリラックスタイムに食べるのがおすすめです。通常のチョコレートとしてより、デザートのような感覚で味わうとよいでしょう。お気に入りのお皿に盛り付ければ、素敵なティータイムとなります。
ペアリングを楽しむ
ビーントゥバーチョコレートは単体で食べるだけでなく、飲み物や他の食べ物とのペアリングもおすすめです。ペアリングとは食べ物と飲み物の相性を生かして楽しむことです。ワインやウイスキーなどお酒とのペアリングも抜群ですが、コーヒーやチーズなどもビーントゥバーチョコレートと合います。
赤ワインに含まれるタンニンという成分はビーントゥバーチョコレートと相性が良く、お互いの風味を引き立てます。カカオ豆の種類によっては白ワインとも合うでしょう。コーヒーの苦味はビーントゥバーチョコレートの甘さとマッチします。アラビカ種やロブスタ種など複数の種類を試してみてください。
チーズとビーントゥバーチョコレートは相性が良い組み合わせです。ブルーチーズやゴートチーズなど、香りが強いチーズは特にチョコレートとマッチします。甘いものと塩分があるものならば、相互に味が引き立つでしょう。
上記で紹介したもの以外にも、ビーントゥバーチョコレートとマッチする飲み物や食べ物はたくさんあります。ぜひお気に入りのペアリングを見つけてみてください。
ビーントゥバーチョコレートの保存方法
ビーントゥバーチョコレートは繊細な食品なので保存方法に気を使う必要があります。特に重要となるのは温度です。22度以下の場所で保存するようにしましょう。また直射日光が当たると、チョコレートが熱くなり溶けてしまう場合があるため避けてください。一度チョコレートが溶けてしまうと、再度冷えて固まっても前述したファットブルームが発生してしまうかもしれません。
またチョコレートは湿気が苦手なため、湿度が高い場所での保管は避けましょう。その他、強い匂いがするものが近くにあると、匂いが移ってしまう場合もあるため注意が必要です。チョコレートの魅力は風味や香りなので、損なわれないような保管方法が求められます。
ビーントゥバーチョコレートを保存する環境として理想的なのはワインセラーだといわれています。とはいえ、自宅にワインセラーがないという場合も多いでしょう。ワインセラー以外でチョコレートを保存するなら夏は冷蔵庫、涼しい季節なら室温の場所がおすすめです。
冷蔵庫で保存する際は密封できる容器に入れ、湿度の影響を受けないようにしましょう。食べる際は室温に戻しておくと、よりビーントゥバーチョコレート本来の味や口溶けを楽しめます。
ビーントゥバーチョコレートに関する用語
ビーントゥバーチョコレートに関連する頻出用語として以下が挙げられます。
● カカオパルプ
● カカオハスク
● フェアトレード
それぞれ詳しく解説します。
カカオパルプ
ビーントゥバーチョコレートの原料となるカカオ豆は、前述したようにカカオの実の種子です。カカオパルプとはカカオの実に入っている白い果実で、カカオ豆を包み込んでいます。カカオパルプはヌルヌルとしていて、甘酸っぱい味をしています。カカオパルプはカカオ豆の発酵に使われていますが、知っている人はあまり多くないかもしれません。
カカオハスク
カカオハスクとはカカオ豆の種皮です。繊維質で硬いので、チョコレートに入っていると口当たりが悪くなります。そのため、ビーントゥバーチョコレートを製造する過程でカカオハスク
は取り除かれます。
カカオ豆から取り除かれたカカオハスクは、その後利用されず廃棄される場合も少なくありませんでしたが、近年ではカカオハスクの活用が広がっています。燃料や肥料、飼料などとして利用される場合があります。カカオハスクを使ったお茶や衣類、雑貨、家具などが登場しており、ユニークな活用方法です。
フェアトレード
フェアトレードを和訳すると公正な取引という意味となります。フェアトレードとは発展途上国との貿易で公正に取引し、発展途上国の人々の生活を助ける基準や仕組みです。ビーントゥバーチョコレートを支えるカカオ農家は貧困で悩んでいる場合も少なくありません。フェアトレードによってカカオ豆が適切な価格で取引され、カカオ農家の収入を守ることにつながります。
まとめ
ビーントゥバーチョコレートはこだわって作られた製品が多く、カカオ豆の個性や風味がしっかりと味わえます。ワインやコーヒー、チーズなどとも相性が良く、さまざまな楽しみ方ができるでしょう。ビーントゥバーチョコレートを食べる際は、ぜひじっくりと風味を楽しんでください。
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